「体の中にプラスチックが溜まっている」——そんな話、どこかで聞いたことはありませんか?
実はこれ、大げさな話ではありません。WHO(世界保健機関)の報告によると、私たちは毎週クレジットカード1枚分(約5グラム)のマイクロプラスチックを、飲み水・食品・空気から体内に取り込んでいると推計されています。
そんな中、2026年5月に発表された韓国の最新研究が世界中で注目を集めています。なんと、キムチに含まれる乳酸菌が体内のナノプラスチックを高効率で吸着し、体外に排出することが明らかになったのです。
コンパス:「キムチが体のプラスチック掃除機になる」なんて、驚きですよね!科学的な根拠とともに、わかりやすくお伝えしていきますよ!
マイクロプラスチック汚染——私たちの体で何が起きているのか?
まず、そもそも「マイクロプラスチック」とは何かをおさらいしておきましょう。
直径5mm以下のプラスチック微粒子を「マイクロプラスチック」、さらに小さな1μm(マイクロメートル)以下のものを「ナノプラスチック」と呼びます。これらは食品パッケージ、ペットボトル飲料水、魚介類など、私たちの身近な食べ物に広く含まれています。
2024年のイタリアの研究(New England Journal of Medicine掲載)では、頸動脈プラーク(動脈硬化の原因となる血管の詰まり)の組織からマイクロプラスチックが検出され、マイクロプラスチックが血中に存在する人は、心臓発作・脳卒中のリスクが4.5倍高いという衝撃的なデータも示されました。
「体内から出す手段がない」とされてきたマイクロプラスチック問題。そこに新たな光を当てたのが、韓国・世界キムチ研究所(WIKim)の最新研究です。
キムチ由来の乳酸菌が「ナノプラスチック吸着装置」として機能する
世界キムチ研究所(World Institute of Kimchi:韓国科学技術情報通信部管轄の国立研究機関)の研究チームは、キムチから分離した乳酸菌の一種、Leuconostoc mesenteroides CBA3656(ロイコノストック・メセンテロイデス)に注目しました。
この菌は、「バイオソープション(生体吸着)」というメカニズムを通じて、ナノプラスチック粒子に結合します。細菌の細胞壁にあるタンパク質や多糖類がプラスチック粒子を引き寄せ、まるで「小さなフック」のように引っかかることで、プラスチックが腸壁を通り抜けて臓器に蓄積するのを防ぐのです。
この研究結果は、農業工学分野でNo.1の学術雑誌「Bioresource Technology」(インパクトファクター9.0)に掲載されました。
87%の高吸着率!しかも腸内環境でも性能を維持
研究チームが行った実験の結果が、特に注目に値します。
- 通常の実験室条件:CBA3656株はポリスチレン製ナノプラスチックに対して87%の吸着効率を達成
- ヒト腸内環境を模した条件:同じ菌株が57%の吸着率を維持(比較対象の別の乳酸菌が3%まで低下したのとは対照的)
- マウス実験:CBA3656を投与されたマウスの糞便中のナノプラスチック量が、投与しないマウスの2倍以上になることが確認された
「腸内環境で性能が落ちない」というのが特に重要なポイント。他の菌株が腸の酸性環境に負けて吸着率が97%も低下するのに対し、CBA3656は過酷な条件下でも高い性能を発揮したわけです。
コンパス:同じ乳酸菌でも、腸内でどれだけ頑張れるかはまったく違う。CBA3656は腸内でも57%という圧倒的な維持率が鍵ですよ!
なぜ「キムチ」なのか?発酵食品と腸内細菌の深い関係
発酵食品が腸内環境に良いとされることは広く知られていますが、今回の発見はその価値をさらに引き上げるものです。
キムチには乳酸菌の中でも特に多様な菌種が含まれており、発酵過程で独自の腸内細菌が育ちます。Leuconostoc mesenteroidesは、乳酸菌の中でもキムチに特有の環境(塩分・低温・嫌気性)で強く育つ種として知られています。
この「過酷な環境で生き抜く力」が、腸内という酸性・消化酵素が豊富な環境でも高い吸着力を維持できる理由なのかもしれません。
まだ初期段階——過信は禁物、でも希望の光
もちろん、今すぐ「キムチを食べればプラスチックが全部出る」と考えるのは時期尚早です。研究チームも「まだ生物学的アプローチの初期段階にある」と慎重な姿勢を示しています。
現時点でわかっていることと、まだわからないこと:
- ✅ マウス実験で体外排出効果が確認された
- ✅ 腸内環境でも高い吸着率を維持する菌株を特定した
- ⚠️ 人間での臨床試験はまだ行われていない
- ⚠️ 今回はポリスチレン製ナノプラスチックのみを対象とした実験
- ⚠️ キムチを食べることで実際にどれだけのCBA3656が腸内に届くかは未検証
今後はプロバイオティクス(機能性乳酸菌サプリ)としての製品化が期待されており、人間を対象とした臨床試験が研究の次のステップとなっています。
今日からできること——発酵食品を日常に取り入れる
臨床試験の結果を待ちながらも、発酵食品を日常に取り入れることは腸内環境の改善においてすでに多くのエビデンスがあります。
- キムチ:Leuconostoc mesenteroidesを豊富に含む。自家製や発酵が浅いものほど生菌が多い
- ぬか漬け・味噌・醤油:日本の伝統的な発酵食品にも多様な乳酸菌が含まれる
- ヨーグルト・ケフィア:乳酸菌を手軽に摂取できる定番食品
マイクロプラスチック問題への究極の対策は、プラスチックの使用量を減らすことです。しかし同時に、腸内細菌を多様で健康に保つことが、体内への蓄積を減らす「次の一手」になるかもしれません。
コンパス:腸活とプラスチック対策が一石二鳥になるかも!キムチや発酵食品を食事に加えてみることは、リスクゼロで試せる習慣ですよね。
まとめ
- 私たちは毎週クレジットカード1枚分のマイクロプラスチックを体内に取り込んでいる(WHO推計)
- キムチ由来の乳酸菌 Leuconostoc mesenteroides CBA3656 がナノプラスチックを87%(腸内環境でも57%)の効率で吸着することが判明
- マウス実験では、この菌を投与することで糞便中のナノプラスチック量が2倍以上に増加(=体外排出が促進)
- ヒトでの臨床試験はまだだが、プロバイオティクス製品化に向けた研究が進んでいる
- 今すぐできることは、キムチ・ぬか漬けなどの発酵食品を日常に取り入れること
「食べることで体を守る」という、人類が古来から実践してきた知恵が、最新の科学によって改めて証明されようとしています。キムチや発酵食品の価値は、腸活だけにとどまらないかもしれませんよ。
コンパス:マイクロプラスチック問題、大きすぎてどこから手をつければいいかわからないですよね。でも「発酵食品を食べる」という小さな習慣から始められるのが嬉しい!科学の最前線が、食卓の身近なところにあるんですよ。
参考文献:World Institute of Kimchi (WIKim), “Kimchi-derived Leuconostoc mesenteroides CBA3656 shows high nanoplastic biosorption efficiency under simulated intestinal conditions,” Bioresource Technology (2026). / Marfella R. et al., “Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events,” New England Journal of Medicine, 390(10), 900–910 (2024).


